パニック発作の対処法とは?発作を落ち着ける方法を解説

突然の強い動悸や息苦しさ、手足の震えに襲われた経験はありませんか。それは「パニック発作」かもしれません。パニック発作は、強い不安などがきっかけで呼吸困難を発生します。明確な危険がない場面でも、身体は危機と判断し、心拍数の上昇や過呼吸などの症状を引き起こすことがあります。発作は突如として現れ、自分の意志では制御できませんが、適切な対処法と予防策を知っておくと落ち着きを取り戻すのが可能です。
本記事では、パニック発作が起こる仕組みや、深呼吸や五感の活用、頓服薬の使い方、ストレス管理など、自分でできる対処・予防方法を具体的に紹介します。
監修
医療法人優真会 理事長
近藤匡史
順天堂大学医学部を卒業後、複数の精神科病院で急性期・慢性期・認知症医療等に従事。現在は医療法人優真会理事⾧、なごみこころのクリニック院⾧として地域精神医療の充実・発展に尽力しています。
パニック発作が出現する仕組みとは?
パニック発作は、不安や恐怖で脳の扁桃体が過活動になることが関与しています(1)。不安や恐怖を感じた際、扁桃体が過敏に反応し、危険を察知したと誤認します。この反応が交感神経を刺激し、心拍数の増加、呼吸の乱れ、発汗などの身体反応を引き起こす要因です。
本来は身の危険に備える防御反応ですが、パニック障害では明確な危険がない場面でも反応します。その結果、強い動悸や息苦しさなどの症状が突然現れ、発作として出現します。このように、パニック発作は不安や恐怖がきっかけで交感神経が興奮することでパニック発作が引き起こされる仕組みです。自分の意思では制御できず、繰り返すのが特徴です。
パニック発作の対処方法
パニック発作の対処方法は大きく4つあります。
- 深呼吸をする
- 五感を使う
- 頓服薬を使用する
- 落ち着ける場所に移動する
それぞれ解説します。
深呼吸をする
パニック発作時には呼吸が浅く速くなり、過呼吸の状態に陥りやすくなります。そのため深呼吸をすることは、発作を和らげる基本的な対処法のひとつです。ゆっくりと鼻から息を吸い、口から時間をかけて息を吐き出します。息を吐く時間を吸う時間より長くすると、副交感神経が働きやすくなり、心拍数が安定します。過度な呼吸にならないよう、「吸って3秒、吐いて5秒」などリズムを決めて行うと効果的です。呼吸に意識を向けることで、不安や恐怖から意識をそらすことにもつながります。深呼吸は場所を選ばずできるため、日頃から練習しておくと安心です。
五感を使う
五感を意識的に使うことで、不安から意識を逸らし、落ち着きを取り戻すことができます。たとえば、冷たい水に触れる、好きな香りをかぐ、目に見えるものを丁寧に観察するなどの行動が効果的です。これにより、意識が他に集中し、不安を逸らすことができます。また、自分の身体や感覚を頼りにすることで、安心感が生まれ、パニック発作を乗り越える手助けになります。
頓服薬を使用する
パニック発作の対処法として、頓服薬の使用が効果的です。医師から処方される抗不安薬は、発作時の強い不安や動悸、息苦しさなどの症状を一時的に緩和します。あらかじめ指示されたタイミングと用量を守り、症状が出た際に服用することで、比較的早く落ち着くことが可能です。持ち歩きやすい錠剤や水なしで服用できる口腔内崩壊錠などもあり、外出先でも使用できます。頓服薬の使用は一時的な対処であり、根本的な治療ではないため、定期的な通院やカウンセリングと併用するのがおすすめです。
落ち着ける場所に移動する
パニック発作が起きたときは、騒がしい場所や人混みから離れ、落ち着ける場所に移動することが有効です。視覚や聴覚への過剰な刺激は、不安を増幅させます。静かで安心できる空間に移動することで、症状の悪化を防ぎます。ベンチや空いている部屋、車の中など、慣れた場所であればさらに安心感が得られるでしょう。
自分の呼吸や身体の感覚に意識を向けると、思考の悪循環を止めやすくなります。「人の目が気になる」と感じても、安全の確保が優先です。無理をせず、落ち着ける空間を探すことが重要です。
自分でできるパニック発作の予防方法
パニック発作の発症を予防する方法は3つあります。
- カフェインやアルコールを控える
- 普段からストレスを溜めない
- 不安を感じやすい場所には行かない
詳しく解説します。
カフェインやアルコールを控える
カフェインやアルコールはパニック発作の誘因となるため注意が必要です。カフェインは交感神経を活性化し、心拍数の上昇や不安感を引き起こすため、パニック発作を誘発しやすくなります。コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンクなどに含まれるため、摂取量を減らすことが重要です。
アルコールも一時的な気分の高揚をもたらすものの、代謝後に不安感が強まることがあります。睡眠の質にも悪影響を及ぼすため、控えた方が安全です。特に不調を感じやすい日は、刺激物を避けて体調管理を優先するとよいでしょう。
普段からストレスを溜めない
ストレスはパニック発作を引き起こすきっかけになるため、普段から溜め込まないことが重要です。無理をせず、自分のペースで過ごす時間を確保しましょう。仕事や人間関係での緊張が続くと、心身に大きな負担がかかります。適度な休息をとり、好きな趣味やリラックスできる時間を持つことで、精神的な余裕が生まれます。
自分の感情を否定せず、ストレスを感じたときは信頼できる人に話すことも効果的です。日記やメモに思いを書き出すだけでも気持ちを整理できます。日常的にストレスの対処法を取り入れておくことで、発作の誘因を減らすことができます。
不安を感じやすい場所には行かない
不安や緊張を感じやすい場所は、パニック発作の引き金になります。特に人混みや電車などの狭い場所は不安を感じやすいため避けましょう。無理に行動範囲を広げず、自分にとって安心できる環境を優先することが大切です。予定を詰めすぎず、余裕のある行動計画を立てることも予防につながります。
やむを得ず外出する際は、混雑を避ける時間帯や経路を選ぶ工夫をしましょう。信頼できる人と一緒に行動するのも安心材料になります。自身の状態をよく観察し、心が落ち着く選択を意識して行動しましょう。
よくある質問
パニック障害に関してよくある疑問として、以下の3つを紹介します。
- パニック障害は何科を受診したらいい?
- パニック障害の再発率はどれぐらい?
- パニック障害におすすめの市販薬はある?
それぞれ解説します。
パニック障害は何科を受診したらいい?
パニック障害の疑いがある場合は、心療内科や精神科を受診するのが適切です。突然の動悸や息苦しさ、強い不安に襲われる発作を繰り返すなら、専門的な診断と治療が必要です。精神科・心療内科では、心理療法や薬物療法を併用して症状の軽減を目指すのが一般的です。
パニック障害の再発率はどれぐらい?
パニック障害は適切な治療により改善が期待できますが、再発率も一定の割合で存在します。再発率は50%とされ、ストレスや生活環境の変化が引き金になることがあります(2)。特に治療を中断した場合や、自己判断で薬をやめた場合に再発リスクが高いです。一方で、再発を防ぐためには定期的な通院と服薬の継続、ストレス管理や生活習慣の見直しが重要です。
パニック障害におすすめの市販薬はある?
パニック障害の治療は医師による診断と処方薬が基本であり、市販薬での根本的な治療は困難です。一時的な不安感や軽度の緊張を和らげるための漢方薬や市販薬はあるものの、自己判断での使用は症状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。市販薬を使いたいと思う場合にも、まずは医師の診断を受けるのが重要です。
パニック発作を適切に対処して乗り越えましょう
パニック発作は、不安や恐怖により脳の扁桃体が過活動になり、交感神経が刺激されて動悸や過呼吸を引き起こします。対処法には、深呼吸・五感の活用・頓服薬の使用・落ち着ける場所への移動があり、いずれも発作の緩和に有効です。予防策としては、カフェインやアルコールを控える、ストレスを溜めない、不安を感じやすい場所を避けることが挙げられます。心療内科や精神科での適切な治療が再発防止の鍵となります。適切な治療と対策でパニック発作に対処しましょう。
【参考文献】
