うつ病・うつ状態

うつ病の種類と違いを完全解説|見逃せない症状・特徴を医師が解説

「もしかして、うつ病かもしれない…」そんな不安を抱えていませんか?うつ病にはいくつかの種類があり、それぞれ症状や対応方法が異なります。間違った自己判断は、回復を遅らせる原因にもなりかねません。

この記事では、代表的なうつ病の種類とその違いをわかりやすく解説します。さらに、産後うつ病や季節性うつ病、非定型うつ病についても詳しく触れ、双極性障害との違いも比較して紹介します。

監修

医療法人優真会 理事長
近藤匡史

順天堂大学医学部を卒業後、複数の精神科病院で急性期・慢性期・認知症医療等に従事。現在は医療法人優真会理事⾧、なごみこころのクリニック院⾧として地域精神医療の充実・発展に尽力しています。

うつ病とは?

うつ病とは、持続的な悲しみや興味の喪失などの特徴がある精神障害です。気分が落ち込んだ状態が2週間以上続き、日常生活に支障をきたす場合、うつ病の可能性があります。

診断基準として用いられるDSM-5では、

①抑うつ気分、または②興味や喜びの著しい喪失のいずれかを含み、

③食欲の減退または増加

④睡眠障害(不眠または過眠)

⑤精神運動の障害(焦燥感または運動の制止)

⑥疲労感または気力の低下

⑦強い罪責感

⑧思考力や集中力の低下

⑨死への思い


のうち5つ以上の症状が、ほぼ毎日、ほぼ一日中存在することが基準です。ただし、診断基準だけでなく、これらの症状が本人にとって大きな苦痛になっていて、社会生活や職業的な機能に明らかな支障をきたしていることも診断の際に考慮されます。

うつ病の種類

うつ病にはいくつかの種類があるため、それぞれ紹介します。

  • 重篤気分調節症
  • 大うつ病性障害
  • 持続性抑うつ障害(気分変調症)
  • 産後うつ病
  • 非定型うつ病
  • 季節性うつ病(季節性感情障害)

各疾患の特徴は以下の通りです。

重篤気分調節症

重篤気分調節症(DMDD)は、子供や青年に見られる気分障害の一つです。主な特徴は、持続的な易怒性と激しい癇癪です。日常的に怒りっぽく、ささいな出来事でも強い反応を示す傾向があります。感情の変動が激しく、突発的な怒りや泣きが頻繁に見られやすいです。

家庭や学校での対人関係に影響を与えることが多く、誤解や孤立を招く原因になります。ADHDや不安障害などと併発する場合もあり、その他の疾患を考慮した診断が必要です。

大うつ病性障害

大うつ病性障害は、一般的にいわれる「うつ病」のことです。主な症状は持続的な抑うつ気分、興味や喜びの喪失、不眠、食欲低下などです。精神症状だけでなく、頭痛や胃の不調、倦怠感といった身体症状も伴います。これらの症状が2週間以上、ほぼ毎日続くのが特徴です。日常生活や仕事に支障が出ることが多く、家事や人付き合いにも影響します。

原因はストレスや環境要因、脳内の神経伝達物質の異常などが考えられています。うつ病は、双極性障害、ADHD、適応障害など様々な精神疾患と症状が似ているため、鑑別が必要です。

持続性抑うつ障害(気分変調症)

持続性抑うつ障害は、2年以上にわたって抑うつ気分が続く慢性的な状態を指します(1)。重症度は比較的軽い場合が多いですが、長期にわたることで日常生活への影響は大きくなります。症状には食欲低下、不眠、意欲低下など、うつ病と共通するものも多いです。過去にうつ病を発症している人が、その後に持続性抑うつ障害として経過することもあります。本人が抑うつ気分に慣れてしまい、異常と認識しにくいことも特徴です。また、うつ病に比べて治療効果が現れにくい疾患でもあります。

産後うつ病

産後うつ病は、出産後の女性がかかりやすいうつ病の一種です。主な原因は、出産後のホルモンバランスの急激な変化と、育児に伴う心身のストレスです。出産後に女性ホルモン(エストロゲン)が減少するため、マタニティーブルーが生じます。通常は2週間程度で改善しますが、それが改善せず継続的に続くと産後うつ病へと移行しやすいです(2)。

精神症状として、抑うつ気分、不安感、緊張などが現れます。身体的な症状では、不眠、頭痛、食欲不振などが目立ちます。育児への不安や孤独感から、自己否定や涙もろさが強くなる場合も少なくないです。また、赤ちゃんに対する愛情が持てないと感じることもあります。放置すると母子ともに大きな影響が出るため、早めの受診が重要です。

非定型うつ病

非定型うつ病は、典型的なうつ病とは異なる特徴を持ちます。大きな違いは、楽しいことに反応して一時的に気分が明るくなる点です。通常のうつ病では、どんな出来事でも気分は上がりませんが、非定型うつ病では外的な刺激によって感情が動きやすくなります。身体面の症状では、手足が鉛のように重く感じることがあります。また、早朝に目が覚めてしまうことが多いうつ病に対して、非定型うつ病では過眠傾向がみられるのが特徴です。このような違いを把握することで、誤った自己判断を防ぎ、適切な医療につなげることができます。

季節性うつ病(季節性感情障害)

季節性うつ病は、季節の変化に応じて症状が現れるのが特徴です。特に秋から冬にかけて発症しやすい傾向です。女性に多く、過食や体重増加など非定型うつ病に似た症状が現れます(3)。他にも、興味や喜びの喪失、過眠傾向、食欲増加などが見られやすいです。原因としては、日照時間の減少によるセロトニンなどのホルモンバランスの乱れが考えられています。

また、冬季は外出の機会が減り、活動量も低下しやすくなるため、心身のリズムが乱れやすいことも影響していると考えられます。光療法やビタミンDの補給、適度な運動が対策として有効です。生活リズムを整え、日中に光を浴びる習慣を意識すると、症状の軽減につながります。

うつ病と双極性障害の違い

うつ病は、気分が著しく落ち込み、意欲や集中力の低下、食欲不振、不眠などの症状が続く疾患です。抑うつ状態が長期間持続し、日常生活に大きな支障をきたします。一方、双極性障害は、うつ状態と躁状態の両方が現れる精神疾患です。うつ状態はうつ病と似ていますが、その後に異常な高揚感や活動過多が特徴の躁状態が出現するのが大きな違いです。躁状態では、衝動的な行動や浪費、誇大妄想などが見られることもあります。

うつ病 双極性障害
特徴 持続する抑うつ気分、興味・喜びの喪失 抑うつ状態と躁状態が交互に出現
躁状態の有無 なし あり(活動的・衝動的・自信過剰など)
気分の変動 一方向で低下 躁時は高揚、うつ時は低下
行動への影響 無気力・疲労感 衝動的な行動、浪費、過活動

うつ病と双極性障害では、診断や治療方針が異なるため、症状の違いを理解することが重要です。

よくある質問

うつ病に関してよくある質問を2つ紹介します。

  • うつ病と間違えやすい他の病気は?
  • うつ病の人が良くとる行動は?

それぞれ解説します。

うつ病と間違えやすい他の病気は?

うつ病と間違えやすい他の病気には、適応障害、不安障害、統合失調症などがあります。これらの疾患は共通して抑うつ気分や意欲の低下を伴うことがあるため、見分けがつきにくいです。

適応障害は、特定のストレス要因が引き金となって気分の落ち込みや不安を生じます。ストレス要因から離れることで、症状が比較的早く改善することが特徴です。不安障害は、強い不安や恐怖が中心ですが、同時に抑うつ症状を伴うことがあります。統合失調症は、幻覚や妄想が代表的な症状ですが、初期段階では意欲の低下や無気力といった抑うつ状態が現れることもあります。うつ病との違いを見極めるには、症状の経過やストレスとの関係、幻覚や妄想の有無などの詳細な観察が必要です。

うつ病の人が良くとる行動は?

うつ病の人には、日常生活における行動の変化が見られます。代表的なものに、社会的孤立があります。人との関わりを避け、会話や交流を控えるようになる傾向です。また、口数の減少も特徴の一つで、話しかけられても反応が薄くなることがあります。さらに、感情の起伏がなくなる傾向もあり、喜怒哀楽が表に出にくくなります。こうした行動は、周囲や自分自身がうつ病かもしれないと気づくためのサインとして重要です。本人の努力不足と誤解されやすいため、正しい理解が必要です。

うつ病の種類によって治療方法は異なります

うつ病には様々な種類があり、それぞれ症状や対応が異なります。重篤気分調節症、大うつ病性障害、持続性抑うつ障害、産後うつ病、非定型うつ病、季節性うつ病などが代表例です。うつ病の診断には、持続的な抑うつ気分や興味の喪失など、複数の症状が2週間以上続くことが基準となります。双極性障害は、うつ状態と躁状態を繰り返す点でうつ病と異なり、躁状態では活動性が異常に高まり、衝動的な行動が増えることが特徴です。うつ病と双極性障害では治療方針も大きく異なるため、正確な診断が重要です。うつ病は適応障害や不安障害とも症状が似ているため、受診して医師の診察を受ける必要があります。

【参考文献】

  1. うつ病の新しい考え方
  2. 「産後うつ病の病態と臨床ーすべての生まれてくる命のためにー」
  3. 季節性感情障害(冬季うつ病)に対するalprazolamの効果