双極性障害の種類・特徴・よくある行動を徹底解説

「気分の浮き沈みが激しい」「急に活動的になったかと思えば無気力になる」そんな変化に心当たりはありませんか。もしかすると、それは双極性障害のサインかもしれません。双極性障害は、うつ状態と躁状態を繰り返す精神疾患で、日常生活や人間関係に大きな影響を与えます。気分の波を本人が自覚できないこともあり、うつ病と間違えられるケースも少なくないです。
放置すると再発や社会的信用の低下、自殺リスクの上昇など深刻な問題につながるため、早期の理解と適切な対応が欠かせません。また、双極性障害は「I型」と「Ⅱ型」に分かれ、それぞれ症状や行動パターンが異なります。違いを正しく把握し、症状に合った治療を受けることが大切です。
この記事では、双極性障害の種類ごとの特徴、なりやすい性格傾向、よく見られる行動パターンを詳しく解説します。
監修
医療法人優真会 理事長
近藤匡史
順天堂大学医学部を卒業後、複数の精神科病院で急性期・慢性期・認知症医療等に従事。現在は医療法人優真会理事⾧、なごみこころのクリニック院⾧として地域精神医療の充実・発展に尽力しています。
双極性障害とは
双極性障害は、うつ状態と躁状態を交互に繰り返す精神疾患です。有病率は0.1〜0.4%程度で、好発年齢は10代後半〜20代前半とされています(1)。
うつ状態では気分が沈み、興味や意欲の低下、食欲や睡眠の異常などが見られます。一方で躁状態では気分が高揚し、活動的になりすぎたり、考えが次々と浮かんだりします。躁状態が軽い場合も多く、うつ病と混同されがちです。本人が躁状態に気づかないこともあります。
気分の波が大きく、日常生活や人間関係に支障をきたすことが多いため、早期の診断と治療が重要です。また、双極性障害は、重い躁状態を伴うI型と、軽い躁状態(軽躁)とうつ状態を繰り返すⅡ型の2種類に分けられます。それぞれの特徴について以下で解説します。
双極性障害の種類
双極性障害は症状の特徴によってI型とⅡ型の2種類に分けられます。それぞれの特徴を詳しく解説します。
双極性障害I型
双極性障害I型は、激しい躁状態と抑うつ状態を繰り返す双極性障害です。特に躁状態は日常生活に大きな影響を及ぼします。例えば、衝動的な買い物、性に奔放になる、周囲に迷惑をかける行動などです。本人は高揚感や万能感に包まれ、自信に満ちた言動を取るようになりますが、判断力の低下や抑制の欠如が目立ちます。また、興奮して眠らなくても平気になり、次々と新しい計画を立てたり、人間関係にトラブルを起こすことも少なくないです。
反対に、抑うつ状態では無気力、罪悪感、自殺念慮などが強くなり、活動が困難です。症状が重度になると、入院による治療が必要になるケースもあります。I型は生活全般に大きな影響を与えるため、早期診断と継続的な治療が重要です。
双極性障害Ⅱ型
双極性障害Ⅱ型は、軽い躁状態と抑うつ状態を繰り返す疾患です。軽躁状態では活動量が増え、自信に満ちた行動をとる傾向です。集中力が低下することもあり、周囲に違和感を持たれることがあります。ただし、I型に比べて社会的なトラブルや極端な行動に至ることは少ないです。
一方、抑うつ状態では強い悲しみや無力感に包まれ、日常生活に深刻な影響を与えます。Ⅱ型は抑うつエピソードの期間が長くなるため、うつ病と誤診されることも少なくありません。症状の波を正しく把握し、適切な治療を受けることが回復の鍵です。本人だけでなく、周囲の理解や支援も重要な役割を果たします。
双極性障害I型とⅡ型の違い
双極性障害I型は、躁状態がはっきりと現れるのが特徴です。気分が異常に高揚し、自信過剰、過活動、睡眠欲求の減少がみられます。うつ状態に入ると強い抑うつ感、意欲低下、無力感に苦しみます。
双極性障害Ⅱ型は、軽躁状態とうつ状態を繰り返すのが特徴です。軽躁状態では活動的になりますが、I型ほど極端ではありません。本人や周囲が異常と気づきにくく、問題行動も比較的少ないです。一方でうつ状態が重く、長期間にわたる傾向があります。
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双極性障害I型 |
双極性障害Ⅱ型 | |
| 躁状態の症状 | 激しい多弁、浪費、過活動、攻撃的行動 | 活動的、気分の高揚、自信過剰 |
| 抑うつ状態の症状 | 重度の抑うつ、無気力、自殺念慮 | 同様に重度だが、頻度や期間が長い |
| 症状の程度 |
非常に強く、社会生活に支障をきたす |
中等度で、生活に支障が少ないこともある |
| 日常生活への影響 | 入院が必要な場合あり、大きな支障をきたす | 抑うつが主で、長期的に支障が出やすい |
双極性障害になりやすい性格
双極性障害になりやすい性格には、いくつかの特徴が見られます。几帳面な性格は、完璧を求めるあまりストレスを抱え込みやすいです。責任感が強い人も、自分に過度なプレッシャーをかける傾向があります。社交的で周囲との関係を大切にする一方、人間関係のストレスを受けやすいです。
気分の波が激しい人は、些細なきっかけで感情が大きく揺れ動き、心のバランスを崩しやすいです。衝動的な行動を取りやすい性格も、後悔や自己否定感につながり、精神的な負担を高めます。特定の物事や人に執着しやすいタイプは、思い通りにいかない状況に強いストレスを感じやすいです。
これらの特徴を持つ人は、日常の中で無理を重ねたり、感情をコントロールできなくなったりすることで、双極性障害のリスクが高まる可能性があります。
双極性障害によくある行動
双極性障害では、気分の波によってさまざまな行動パターンが現れます。躁状態では多弁になり、話が止まらなくなることが多いです。内容にまとまりがなく、次々と話題が変わる場合もあります。
衝動的な行動も特徴で、計画性なく高額な買い物や無謀な挑戦をすることがあります。注意散漫になり、仕事や学業に集中できずミスが増えることも珍しくないです。睡眠欲求が減少し、ほとんど寝なくても疲れを感じにくくなります。また、些細なことで怒りやすくなり、易怒的になる傾向も見られます。自信過剰になり、自分には特別な力があると錯覚することもあるでしょう。一方で抑うつ状態になると、無気力になり、何をするにも意欲が湧かなくなります。
双極性障害を放置するとどうなる?
双極性障害を治療せずに放置すると、再発のリスクが高まります。症状が軽快しても、適切な治療を受けなければ再び躁状態やうつ状態が現れやすいです。発作のたびに生活への支障が大きくなり、徐々に社会的信用を失う恐れもあります。仕事を続けることが難しくなったり、家族や友人との関係が悪化したりするケースも少なくありません。さらに、自殺リスクも上昇します。特にうつ状態が長引くと、自ら命を絶とうとする危険性が高まります。
放置することで病状は慢性化し、本人だけでなく周囲の生活にも深刻な影響を及ぼします。早期に医療機関を受診し、継続的な治療を受けることが重要です。双極性障害は放置しても自然に治る病気ではありません。自己判断で通院を中断することも再発の一因となるため、医師の指示に従った適切な対応が必要です。
よくある質問
双極性障害に関してよくある質問を紹介します。
- 双極性障害は治る?
- 幼少期の経験が双極性障害の原因になる?
- 双極性障害と間違えやすい疾患とは?
それぞれ解説します。
双極性障害は治る?
双極性障害は、完治を目指す病気ではありません。治療の目標は、症状を完全に消失させるのではなく、生活に支障がない状態に安定させる「寛解」を目指すことです。適切な治療を継続することで、気分の波を最小限に抑え、社会生活を維持できる可能性が高まります。主に気分安定薬や抗精神病薬による薬物療法と、認知行動療法などの心理療法を組み合わせて症状を管理していきます。再発リスクを下げるため、治療を自己判断で中断せず、医師と相談しながら長期的にコントロールしていくことが重要です。
幼少期の経験が双極性障害の原因になる?
幼少期の経験は、精神的な健康に大きな影響を与えます。特に、身体的・精神的・性的虐待を経験していると、双極性障害や他の精神疾患を発症するリスクが高いです。幼少期は脳の発達が著しい時期であり、強いストレスやトラウマによって神経系の機能が変化する可能性があります。ストレスへの耐性が低下し、感情のコントロールが難しくなることもあります。このような背景が、成人後に気分の波が激しい症状を引き起こす要因です。双極性障害は遺伝的要因と環境的要因の複合によって発症するため、幼少期の虐待歴は無視できない重要なリスク因子です。
双極性障害と間違いやすい疾患とは?
双極性障害は、うつ状態と躁状態を繰り返す特徴があるため、他の精神疾患と区別が難しい場合があります。特にうつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下といった共通点が多く、初期診断で誤認されることが少なくありません。また、注意欠如・多動症(ADHD)も、衝動性や感情の起伏が似ているため混同されやすいです。統合失調症も幻覚や妄想を伴う場合、躁状態と誤解されることがあります。正確な診断には、発症時期、症状の持続期間、エピソードなどを丁寧に確認する必要があるため、医師の診察が不可欠です。
双極性障害の種類を理解して適切な治療を受けましょう
双極性障害は、うつ状態と躁状態を繰り返す精神疾患で、本人の自覚が難しく、うつ病と誤診されることもあります。放置すると再発や社会的信用の低下、自殺リスクが高まるため、早期診断と適切な治療が重要です。
症状により、激しい躁状態を伴う「I型」と、軽躁とうつ状態を繰り返す「Ⅱ型」に分類されます。I型は社会生活に大きな支障をきたす一方、Ⅱ型は抑うつが中心で長期的な影響が目立ちます。几帳面、責任感が強く、感情の波が激しい性格の人は発症リスクが高い経口です。躁状態では多弁や衝動的行動、抑うつ状態では無気力や意欲低下が見られます。
双極性障害は完治を目指す病気ではなく、症状の安定(寛解)を目指して治療を継続することが重要です。双極性障害に対する理解を深め、適切な治療を受けましょう。
【参考文献】
